【人気】夏目漱石の代表作品10選を紹介【今から読む人へ】
明治から大正にかけて活躍した作家、夏目漱石。100年以上たった今でも多くの人に支持されています。教科書に作品が掲載されたり、1000円札に肖像が使われたりなど、日本を代表する文豪の1人であることは間違えないでしょう。
今回は、夏目漱石のおすすめの代表作品10選を紹介していきます。
大体の区別として、
- 誰でも聞いたことのある本
- 前期三部作
- 後期三部作
- その他の代表作
の順で紹介していくことにします。
夏目漱石が生涯で世に送り出した作品の数は、約110!。その中でも、”初めて読むならこれ”、”これだけは読んでおきたい”といった10作品を選びましたので、ぜひ参考にしていってください!
誰でも知っている超有名作品
日本人なら誰でも一度は聞いたことのあるであろう本です。
夏目漱石の小説には、時代背景を描写したものや人間のあるべき姿の模索など、難しめな内容が多いですが、これから紹介する2冊は、そういったことを考えずに簡単に読めるようになっています(だからこそ有名なのかもしれません)。
「読書にあまりなれてない...」といった人は、是非この2冊から読み始めることをオススメします。
①吾輩は猫である
猫から見た人間は、かくも不思議で滑稽なり。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」―鮮烈な書き出しから始まる漱石の処女作は当時の読者に衝撃を与え、今なお色褪せぬ名作となった。英語教師の苦沙弥先生と、その家に出入りする美学者や教え子、書生といった人間たちをじっと見ている「吾輩」の言葉は、時に驚くほど痛烈だ。(Amazonより)
夏目漱石の超代表作。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という書き出しは、あまりにも有名です。読んだことはなくても、誰もが一度は聞いたことのある書名ではないでしょうか。
英語教師の珍野苦沙野に飼われている、猫の”吾輩”の視点から、人間や物事のの様子が描かれています。
当時の社会の様子が面白おかしく表現されている作品です。
②坊ちゃん
江戸っ児の若い教師の坊っちゃんがその一本気な性格から、欺瞞にみちた社会に愛想をつかす。ロマンティックな稚気とユーモア、歯切れのよい表現は、清爽の気にみちている。(Amazonより)
「吾輩は猫である」に並んで、こちらも多くの人が一度は聞いたことのある有名作品。
愛媛松山の学校に赴任した男性教師”坊ちゃん”が、慣れない地での人間関係に苦労し、そして明るい性格で解決していく模様が描かれています。
夏目漱石には、”難しい小説”というイメージがありますが、「坊ちゃん」は深く考えることなく楽しんで読んでいける一冊だと思います。
夏目漱石:前期三部作
夏目漱石の有名な作品に、「前期三部作」と「後期三部作」があります。
どちらも登場人物や設定が共通しているわけではないのですが、物語の背景には共通のバックグラウンドがあります。
③三四郎
主人公の三四郎は母のいる九州の田舎から東京に出て、大学で学問や思想の深い世界に触れる。またミステリアスな美禰子との恋愛で「迷える羊」としての自分を自覚していく青春小説。(Amazonより)
前期三部作の1冊目。
田舎から上京してきた素朴な青年と、都会暮らしで洗練されている女性との恋模様を描いた小説。最終的に二人は結ばれず、男は他の女と結婚するのですが、そこに明治時代の空気が感じられます。
度々登場する、田舎と都会(東京)の対比に共感する方も多いかもしれません。
④それから
主人公の代助は三十歳を過ぎても親からの仕送りを受けて優雅に暮らしている知識人「高等遊民」である。かつて親友に譲った三千代と再会して、人妻である彼女との愛を貫く決心をする。愛を代償に社会から葬られる夫婦はどうなるのか。(Amazonより)
前期三部作の2冊目。
「三四郎」での男と異なり、家族や社会/経済的身分を捨てて、意中の人と結ばれることを選んだ男を描いた小説。設定や登場人物はまったく異なりますが、物語のつながりを感じます。
⑤門
野中宗助は親友安井の妻だったお米を奪った。二人の結婚生活は崖下の家でひっそりと続いている。安井が訪ねてくることを知った宗助は苦しみ、修業のために参禅に出かけるが門は開けてもらえず救済は得られない。
前期三部作の3冊目。
主人公とその妻には過去に何かの重大な出来事があったはず。でも、それを明らかにすることなく物語は進みます。なんとなく見当はつくけど、ひたすら伏せられていることにもどかしさを感じつつも、ついついページをめくって読み進めてしまう一冊。
恋愛の心理描写は相変わらず緻密で、現代でも共感できることが多い。
夏目漱石:後期三部作
前期三部作と同様、「人としてどう生きるか」といったテーマは共通している後期三部作。でも、後期三部作は「短編を集めて1つの作品にしている」という点が大きく変化したところでしょう。
⑥彼岸過迄
修善寺で生死の間を彷徨い、五女のひな子の急死などに直面したあとの小説。人間の心の奥の苦悩と愛の不毛を描く。主人公の川田敬太郎が聞き手としてさまざまな登場人物を引き出す6編の短編と「結末」からなる。(Amazonより)
後期三部作の1冊目。
生死にかかわる大患の治療を経て復帰した後の一作目。これまでと違い、短編を重ねてひとつの長編を作り出す手法を用いています。各短編によって、それぞれの登場人物の様子が描かれています。
⑦行人
行人とは旅人のこと。一郎にとってお直との夫婦関係の苦悩は弟次郎が関わることによって「死ぬか、気が違うか、夫でなければ宗教に入るか」という人間の存在の苦悩そのものへと深まっていく。
後期三部作の2冊目。
作中に出てくる精神病の兄は、漱石自身のことなのではないかというくらいに心理描写が緻密で、その苦しみが伝わってきます。恋愛、精神、明治社会など多くの視点から描かれている小説です。
⑧こころ
この小説の主人公である「先生」は、かつて親友を裏切って死に追いやった過去を背負い、罪の意識にさいなまれつつ、まるで生命をひきずるようにして生きている。と、そこへ明治天皇が亡くなり、後をおって乃木大将が殉死するという事件がおこった。「先生」もまた死を決意する。だが、なぜ…。
後期三部作の3冊目。
内容の評価であれば、1位に輝くかもしれないのが、「こころ」。結末がはっきりせず、読む人、読む時によって様々な解釈ができます。僕も高校生の頃に読みましたが、初めて読んだ時と、漱石の他の作品を読んだ後に2度目に読んだ時では、捉え方が変わりました。
教科書に一部だけ取り上げられることが多いですが、全編通してすんなり読むことができるのでおすすめです。
その他代表作品
⑨夢十夜
「第一夜」から「第十夜」までの夢が幻想的で詩的に構成される。十編のうち四編は「こんな夢を見た」と、目覚めた視点から夢の記憶を語り始める。時代という外界に向きあってきた漱石が「夢」というかたちを借りて、自己の深みにある罪悪感や不安に現実感を与えた小説。(Amazonより)
タイトルの通り、第一夜から第十夜まで、10の短編が収録された作品。それぞれの話がバラバラで繋がりはありません。なので、軽い気持ちで読むことができます。
「こんな夢を見た」という書き出しで始まりますが、そこに描かれているのはマイナスな感情のストーリーばかり。漱石の当時の心理状況がうかがえるかもしれません。
⑩私の個人主義
将来権力と金力を手にするはずの学習院の学生を前に、漱石は「自己本位」という立脚地を得た経歴から、「個人主義」について、自己の個性の発展を望むなら他人の個性も尊重し、自己の権力や金力を使うならそれに伴う義務や責任を重んじなければならないと説く。(Amazonより)
最後に紹介するのは、小説ではなく、夏目漱石が学生に向けて行った講演の書き起こしです。講演は1914年のものですが、100年たった今でも尚相通ずる部分が見受けられて面白いです。
長くもなく、すぐに読み終えられるので是非どうぞ。
まとめ
以上、夏目漱石の代表作品10選の紹介でした。
笑って読める滑稽な小説から、時代背景を描き出した恋愛小説まで幅広い作品を残した夏目漱石。しかし、どれをとっても緻密な心理描写は健在です。
ぜひ、気になった一冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。